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顧客名簿のテーブルと入力フォームを作る

 

 データベース構築の第一歩としてテーブルを作成します。まず、テーブルを作成し、次にテーブルにデータを入力するためのフォームを作成します。

 ここからは、作例用のデータベース「小番頭」を使用するので、このデータベースを開いた状態で以下に進めてください。

 

 

?テーブルの作成方法

 テーブルとはどんなものなのかについては前節で簡単に説明しましたが、ここでもう少し詳しく解説します。

1◆テーブルのフィールドとレコード

 

●テーブルの各項目がフィールド

 テーブルは、図1.49の例のように、各列にデータの項目名(会社名、郵便番号など)が並び、縦方向に同じ種類のデータが入力されたものです。この1つの項目の列のことをフィールドといいます。テーブルを作成する前に、どんなフィールドを作成するのかを決めておきます。

 


                             AC7G629Z

     ↑

    フィールド(あるいはフィールドデータ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


●一件分のひとまとまりのデータがレコード

テーブルには何件分ものデータを入力して、一覧表のように使います。横方向に並んだ1行分のデータが1件分のデータで、これがレコードです。

 

線吹き出し 3: 選択されたレコード位置([▼]印が表示される)

 

 


                               AC7G630Z

      選択されているレコード番号

 

 

 

 

●レコードとフィールドでデータを特定する

テーブルに入力しているデータは、フィールドとレコードで指定することができます。たとえば、図1.51のテーブルから4レコード目の住所1フィールドを指定すると「名古屋市千種区朝丘町」が指定されます。つまり、フィールド(縦)とレコード(横)を指定すれば、目的のデータが抽出できるということです。これは、表計算ソフトExcelなどのセル(列番号、行番号)と同じようなものと考えることができます。

 

 


                               AC7G631Z

 

 

 



2◆必要なフィールドを検討する

顧客情報を登録する顧客名簿テーブルを作成することにします。テーブル名は「顧客名簿」にします。必要な情報は会社名、住所、電話番号などです。思い付いた項目を並べれば、テーブルに必要なフィールドができあがります。フィールドはあとで追加したり、削除したりできます。ただし、追加は比較的簡単ですが、削除についてはデータベース全体の構造が複雑になればなるほど難しくなり、場合によっては削除できなくなることもあるので注意が必要です。顧客名簿に必要なフィールドを表1.1のように決めます。フィールド名が決まったら、各フィールドのデータ型とフィールドサイズ(入力できる最大文字数)を決めます。

 

表1−1

フィールド名   データ型

会社名      テキスト型

郵便番号     テキスト型

都道府県     テキスト型

住所1      テキスト型

電話番号     テキスト型

ファクシミリ   テキスト型

 

 

●データ型

データ型とは入力するデータの型のことで、数値なのか文字なのかを区別します。表1.1の「郵便番号」は数字だけが並ぶデータですが、テキスト型として扱います。理由は、郵便番号は合計などの集計計算の対象とはならないからです。逆に、入力したデータを計算の対象とする場合は、数値型にします。なお、テキスト型のことを文字型ともいいます。

 

 

●フィールドサイズ

フィールドサイズには、そのフィールドに入力できる最大文字数を指定します。会社名なら取引先の名前のなかからいちばん長いものを探して、さらに少し余裕をもたせた文字数にします。フィールドサイズは簡単に変更できるので、不足したら増やすことができます。最大サイズは、半角255文字分です。

 

 

●データの分割

住所を「都道府県」と「住所1」に分けたのは、都道府県別に何かの集計を行うのに便利だからです。データベース作成に慣れると、分割したほうがよいかどうか、見当がつくようになります。ただし、分割しすぎると使いにくくなります。適当にフィールドを作成しておいて、作成途中でフィールドの分割が必要になったときに変更することも可能です。

 

 


3◆デザインビューでテーブルを作成する

データベースウィンドウで[新規作成]を選択すると、[テーブルの新規作成]ダイアログボックスが開きます。                                 作例『002』

 

r操作

図1.52◆データベースウィンドウ

     ?[テーブル]をクリックしてテーブル表示のウィンドウに切り替える

     ?[新規作成]をクリックする

図1.53アダイアログボックスが表示される

線吹き出し 3: A

 

 


 

AC7G632Z

AC7G633Z

 

 

 

 

 

●作成方法の選択

テーブルを作成するには、以下のような方法があります。

▲データシートビューで作成:テーブルにデータを入力できる形式で新規作成する

▲デザインビューで作成  :テーブルのをスタイルだけを決める形式で新規作成する

▲テーブルウィザードで作成:フィールドを選択して自動作成する

▲テーブルのインポートで作成:他のデータベースなどからデータを取り込んで新規作成する

▲テーブルのリンク    :他のデータベースなどからデータを参照して新規作成する

(外部データの更新を保つ状態のテーブルとして作成する)

ここでは、デザインビューで作成することにします。

48ページの「?顧客名簿テーブルを作る」で顧客名簿テーブルを作成しますが、その前にテーブルの作成方法の概略を解説します。

 

●デザインビューで開く

デザインビューでは、テーブルに設定するフィールドや並べ方、使用条件などの設定ができます。デザインビューでは、作成したフィールドが縦に並んで表示されます。

 


 

r操作

図1.54◆新規作成のダイアログボックス

     ?[デザインビュー]をクリックして反転表示する

     ?[OK]をクリックする

図1.55◆新規テーブルのデザインビューが開く

図1.56?1行目をクリックしてフィールド名(ここでは「ID」)を入力する

図1.57ア[Enter]キーを押して入力を決定するとデータ型が自動指定される

 

ここでは、データ型を自動的に設定されるテキスト型のままにしておき、あとで変更することにします(変更方法は49ページで解説)。

 

 

 

 

AC7G634Z

AC7G635Z

 

 

 

 

 

 

線吹き出し 3: B

 

 


  

AC7G636Z               AC7G637Z

 

 

●データシートビューに切り替える

デザインビューとデータシートビューは、相互に切り替えることができます。切り替える際は、作成中のテーブルに名前を付けて保存することが必要です。

 

r操作

図1.58アAccessのツールバー

     ?[ビュー]ボタンをクリックする

     イ保存確認のダイアログボックスが表示される

     ?[いいえ]をクリックする

 


 このあとの保存操作は、46ページの「5◆テーブルを保存して閉じる」の操作と同じです。ここでは、動作の確認のために操作しただけなので、[いいえ]をクリックして、保存しないで以下に進めてください。

線吹き出し 3: ア

 


            

            AC7G639Z

 

●デザインビューを閉じる

デザインビューで新規テーブルを開き、項目を作成して、デザインビューを閉じるときにも、保存の確認があります。ここでも、動作の確認のために操作しただけなので、[いいえ]をクリックしておいてください。

 

r操作

図1.59◆デザインビュー

     ?[×]ボタンをクリックする

     ア保存確認のダイアログボックスが表示される

     ?[いいえ]をクリックする

 

 ダイアログボックスで[はい]をクリックした場合、続いて、テーブル保存のダイアログボックスが表示されるので、テーブル名を入力して保存します。

 

                                 

                                 AC7G640Z

                                 AC7G641Z

 

 

 

線吹き出し 3: A

 

 


4◆データシートビューでテーブルを作成する

 テーブルは、デザインビューで作成するのが基本ですが、データシートビューで実際に表示されるフィールドの並べ方やフィールドの表示幅を見ながら作成することもできます。

 

●データシートビューで開く

 新規作成のとき、データシートビューで開くと、同時にデータも入力できるので、データの長さに合わせたフィールドの表示幅に調整することができます。ただし、データシートビューで作成できるフィールドはテキスト型だけで、数値型のフィールドは作成できません。テキスト型以外のフィールドはデザインビューで作成しなければなりません。

 

r操作

図1.60@ 新規作成をクリックして新しいテーブルのダイアログボックスを開く

     A[データシートビュー]をクリックして反転表示にする

     B[OK]をクリックする

図1.61◆新規テーブルのデータシートビューが開く

     ア仮のフィールド名(フィールド1など)が自動作成される

 

 データシートビューで新しいテーブルを開くと、複数のフィールドが自動作成されます。Access2002の既定値ではフィールド1〜フィールド10のテキスト型のフィールドが作成されます。また、レコード数(行数)も21が最初のレコード数になっています。しかし、この値は、フィールドの設定やデータ入力しなければ、自動的に削除されます。設定やデータ入力した分だけが残るような仕組みになっています。(新規作成時のみ)

線吹き出し 3: @

 

 


AC7G642Z / AC7G643Z

 

●データシートビューでできる主な操作

データシートビューでできる操作を次に示しておきます。

 

▲フィールドの挿入(テキスト型)

▲フィールドの削除

▲フィールド名の変更

▲フィールドの表示幅の変更

▲フィールドの表示/非表示

▲フィールドの移動

▲データの入力/編集

 

●デザインビューに切り替える

データシートビューとデザインビューは、相互に切り替えることができます。ただし、切り替える際には作成中のテーブルに名前を付けて保存することが必要です。保存操作は、46ページの「5◆テーブルを保存して閉じる」で解説してあります。ここでは、操作方法だけをご覧ください。実際に操作すると、保存の確認が表示されて、保存を実行しないと切り替わらない場合があります。

 

r操作

図1.62ア データシートビュー

     イ デザインビュー

     ?[ビュー]をクリックする

       交互に切り替わる

 

線吹き出し 3: @
線吹き出し 3: @

 


       

AC7G644Z                     AC7G645Z

 

 

●データシートビューを閉じる

 開いたテーブルにデータを入力したり、フィールド名を変更したりすると、データシートビューを閉じるときには、保存の確認があります。保存に対して[いいえ]をクリックすると、新規作成したテーブルは破棄されてデータシートビューが終わります。操作は、43ページの「●デザインビューを閉じる」の場合と同じです。ここまでの操作で開いたテーブルを一旦閉じてから(保存せずに)次へ進めてください。

 

 

線吹き出し 3: イ